ナチュラリスト講座 奥入瀬フィールドミュージアム・コラム

ナチュラリスト講座

奥入瀬は,勾配ゆるやかにして純度の高い自然を満喫できる,まさに天然の野外博物館。
ここでは、登る・走る・ウォーキングするといった,一般的なアウトドア・アクティビティとは一線を画した 「あるく・たたずむ・うずくまる」が基本スタイル。
立ちどまるからこそ見えてくる,森羅万象のかずかず。
足もとのコケから頭上の鳥たちまで,奥入瀬の「作品」をゆっくり・じっくり・たっぷりと楽しみましょう。
自然のことについてはあんまり詳しくないけれど,できればもっと深く楽しむためのアドバイスがほしい。
ただ見流すだけではない,ちょっとした「自然の見方」を身につけるためのヒントが,もう少しほしい。そんなあなたのためのコラムです。
奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,いろいろなエピソードを通し,わかりやすく紹介していきます。

ナチュラリスト講座 講座一覧

2022・02・24

#51 清廉な色香を放つ雪の肌

かつて豊穣な自然のイメージを聖書になぞらえた世界で表現した先駆的な天才フォトグラファーがいました。彼の作品に、ある有名な雪の写真があります。雪のうねる造形美を、女性の背面ヌードに見立てて表現した一枚です。これはものすごい作品でした。雪の持つ聖性、はかなさを、清楚なエロチシズムで描いてみせたのです。清廉な色香を放つ、その「雪の肌」はこれまでたくさんの人々を魅了してきました。
2022・02・10

#50 深遠なる冬の森は、ただ明るいだけではない

森と人のつきあいは、科学や芸術、スポーツといった範疇にのみ、とどまるものではありません。そこにはいろいろな側面があります。明るく、楽しく、清々しいのは、森の一面にすぎません。特に冬の巨樹には、何か不思議な力が宿っているようです。ひとり黙して見上げていると、深遠な気持になってきます。
2022・01・25

#49 雪氷の造形を楽しむという感性のレッスン(その二)

ふだん携行するカメラを単に記録用・記念用のツールだけにとどめず、ぜひ「自分が面白いと感じたもの、不思議に思ったもの、よくわからないけどなにか心ひかれるもの」といった対象に向ける「表現用」「作品用」にもお使い頂くことをおススメします。そう、他愛のない「芸術ごっこ」です。ですが「カメラを向ける」という行為が、対象をよりよく観ようというキッカケとなるのです。
2022・01・15

#48 雪氷の造形を楽しむという感性のレッスン(その一)

冷え込んだ日には、渓流でいつも探しものをしています。面白い「氷の造形」を探しているのです。ユニークなオブジェができていることもあれば、不思議なつららが出現していることもあります。この小さな「宝探し」には、ちゃんとした目的意識が必要です。面白いものを見つけてみよう、という意識。あるいは面白がる精神といったものかもしれません。
2021・12・18

#46 ブナの幹の「模様」は生きものである(その一)

ブナの森に魅せられるようになって最初に驚いたことのひとつ。それは、あの美しい幹の模様がブナ本来のものではない、ということでした。ブナの樹皮というものは本来はあのような模様ではないというのです。ブナの樹肌の感じがことのほか好きだった私は、そりゃいったいどういうことかしらと首を傾げてしまいました。
2021・11・21

#44 ホオノキの落葉はなぜ裏面を見せることが多いのか

樹々がすっかり葉を落とした森に延びる遊歩道。落葉がびっしりと隙間なく敷き詰められています。そこでひときわ大きな、白っぽい葉がよく目立ちます。ホオノキです。それが森の底でひときわ「目立つ」ということは、ホオノキの落葉が「常に白っぽい裏面を見せて落ちている」からだ、という話を聞いて驚きました。そういう風景の見方を、それまでまったくしたことがなかったからです。

ナチュラリスト講座

奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,さまざまなエピソードで解説する『ナチュラリスト講座』

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奥入瀬を「天然の野外博物館」と見る,新しい観光スタイルについて考える『エコツーリズム講座』

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