ナチュラリスト講座 奥入瀬フィールドミュージアム・コラム

ナチュラリスト講座

奥入瀬は,勾配ゆるやかにして純度の高い自然を満喫できる,まさに天然の野外博物館。
ここでは、登る・走る・ウォーキングするといった,一般的なアウトドア・アクティビティとは一線を画した 「あるく・たたずむ・うずくまる」が基本スタイル。
立ちどまるからこそ見えてくる,森羅万象のかずかず。
足もとのコケから頭上の鳥たちまで,奥入瀬の「作品」をゆっくり・じっくり・たっぷりと楽しみましょう。
自然のことについてはあんまり詳しくないけれど,できればもっと深く楽しむためのアドバイスがほしい。
ただ見流すだけではない,ちょっとした「自然の見方」を身につけるためのヒントが,もう少しほしい。そんなあなたのためのコラムです。
奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,いろいろなエピソードを通し,わかりやすく紹介していきます。

ナチュラリスト講座 講座一覧

2024・10・30

#91 笑いヤマセミ事件

ヤマセミはよく鳴く鳥です。その鳴声は概ねどの図鑑にも<キャラッキャラッ>あるいは<ケレッケレッ><ケレケレケレ>という鋭い声で鳴くと記載されています。音声のとらえ方とその言語表記には個人差があるようで、筆者などはどう聴いても<キャラ>とか<ケレ>には聞こえないのですが、案外とこういう感想を持つ人は少なくないのではないかと思います。いずれにせよ〈キョッ〉とか〈ケッ〉などと聞こえる鋭い声で、叫ぶように鳴きます。
2024・09・30

#90 奥入瀬の鳥つれづれ

奥入瀬を代表する鳥は何かと尋ねられることがあります。渓流域を主とし、一年を通してよく目にできる鳥といえばカワガラスとミソサザイ。彼らはまったく別のグループに属する鳥でありながら、同じような生息環境に適応しているため姿形がよく似ています。ただカワガラスは水中を泳ぐことができますが「日本最小の鳥」のひとつとして知られるミソサザイは水の中には入れません。岸辺の岩の間をうろちょろしています。
2024・08・30

#89 渓流のよどみに浮かぶうたかたは(その二)

倒木で流れが滞留していたところに、例の泡のカタマリが引っかかっていました。あの泡が何によるものかもう調べられていますか?と同行の植物学の先生から尋ねられました。多糖類によるものという報告が出ています、とお答えしたところ、思いがけず「水生菌によるものかも知れません」とのご指摘。不勉強にも、水生菌という存在をこの時初めて知りました。
2024・07・31

#88 渓流のよどみに浮かぶうたかたは(その一)

奥入瀬渓流の流れのところどころ、特に岸寄りの小湾部のたまりなどに、黄白色~薄茶色の泡のかたまりが浮遊もしくは滞留しているのをしばしば目にします。界面活性剤由来の泡のような印象があり、ヤヤ気味が悪く、景観的にも決してよろしくありません。いかにも薄汚れた感じがします。観光客の目にも入ってきますので、奥入瀬のイメージを大きく損ねています。
2024・06・05

#87 初夏の風にゆれる湿原の白き綿毛

ワタスゲは「綿菅」と書きます。初夏の湿原を代表する存在として世間一般にも広く知られていますから「ワタスゲの花が白く揺れている」と紹介されることも少なくありません。でも、おそらくはちょっと植物に関心のある人ならばご存知のことでしょう。白い綿帽子は、実は「花」ではなく、花の時期を終えたワタスゲの「実」から伸びてきた綿毛なのです。
2024・05・05

#86 たまごのゆりかご

春の奥入瀬の水辺はカエルたちの産卵ピーク。透明なゼラチン質の卵塊は、陽の光があたるときらきらと輝きます。カエルの卵なんて、ぶよぶよして、目玉模様で気持ワルイ。そんなふうに顔をしかめる方もいらっしゃいますけれど、なかなかきれいなものに見えることもあれば、アップで観賞すると少々グロテスクな現代アートっぽくなるものもあります。見つけたらちょっと観賞してみましょう。

2024・03・15

#85 不思議な名を持つ麗しき渓流のカモ(その二)

シノリガモの漢字名「晨鴨」。「シン(ジン)」としか読めない「晨鴨」の呼称は、いったいどこから来たものなのでしょう。古来「しのりがも」と呼ばれていた海ガモに、中国語名の「晨鴨」を単に当てはめただけのこと、という可能性はおおいにありそうです。ですが「しのり」という言葉が日本語に見当たらないのであれば、転訛の可能性はないでしょうか。
2024・02・16

#84 不思議な名を持つ麗しき渓流のカモ(その一)

シノリガモ——ちょっと変わった名前です。初めて聞く言葉です。このカモの漢字名を調べてみると「晨鴨」とあります。しかし「晨」という字の読み方は「シン」「ジン」もしくは「あした」であり、漢和辞典等にも、特に「しのり」と読ませる用例は見当たりませんでした。そもそも「しのり」って、どういう意味なのでしょうか。
2024・01・15

#83 八甲田と十和田の火山エピソード(その二)

十和田火山の活動は、◆先カルデラ期(約22万年〜6万年前)◆カルデラ形成期(約6万年~1万5千年前)◆後カルデラ期(約1万5千年前〜現在)の三つの活動期に区分されています。1万5千年前のカルデラ形成期の噴火によって、十和田カルデラの大部分が形成されました。この時の噴火は十和田火山史上最大規模の噴火とされ、火砕流は八戸にまで流れ下りました。

ナチュラリスト講座

奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,さまざまなエピソードで解説する『ナチュラリスト講座』

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奥入瀬を「天然の野外博物館」と見る,新しい観光スタイルについて考える『エコツーリズム講座』

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