ナチュラリスト講座 奥入瀬フィールドミュージアム・コラム

ナチュラリスト講座

奥入瀬は,勾配ゆるやかにして純度の高い自然を満喫できる,まさに天然の野外博物館。
ここでは、登る・走る・ウォーキングするといった,一般的なアウトドア・アクティビティとは一線を画した 「あるく・たたずむ・うずくまる」が基本スタイル。
立ちどまるからこそ見えてくる,森羅万象のかずかず。
足もとのコケから頭上の鳥たちまで,奥入瀬の「作品」をゆっくり・じっくり・たっぷりと楽しみましょう。
自然のことについてはあんまり詳しくないけれど,できればもっと深く楽しむためのアドバイスがほしい。
ただ見流すだけではない,ちょっとした「自然の見方」を身につけるためのヒントが,もう少しほしい。そんなあなたのためのコラムです。
奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,いろいろなエピソードを通し,わかりやすく紹介していきます。

ナチュラリスト講座 講座一覧

2023・06・13

#76 森の香り。それは大気のビタミン

「森は馥郁たる香気に満ちて」という文章に出会いました。ちょっといい感じのフレーズです。ただ、この「馥郁」という言葉、私は知りませんでした。あてずっぽうで、なんとか「フクイク」と読めはしたものの、そのきちんとした意味まではわかりませんでした。にもかかわらず、私はこの一文の伝えんとするところを、なんとなく察することができたのでした。
2023・05・10

#75 荘厳な顔つきをして。されど、優しげなまなざしをして。

森全体が萌えあがるこの季節。つい森の全景ばかりを眺めてしまいがち。でも一枚一枚の葉にもハッとするような美しさがあります。毎年のように愛でていても、なぜか決して見飽くことがありません。毎春、初めて目にするもののごとく、新鮮な感動にうたれます。人がブナの新緑に心魅かれることには、どこか生命への根源的な賛歌があるようにも思えます。
2023・04・22

#74 はかなくもしたたかに

早春の森に咲きみだれる可憐な花たち。スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれる、その代表格といえば、やはりカタクリではないでしょうか。野山を薄桃色に彩る、この花の絨毯を目にすると、どうしても心がはずみます。落葉広葉樹林が新しい葉を開く前から、カタクリは大きな葉を伸ばし、気温が17度を越えると6枚の淡紅色の花びらをピンと後方に反り返らせて咲き誇ります。
2023・03・24

#73 春が来て赤子の産着がすきまから

ブナの芽吹きは、おおむね5月の初め。いかに春めいてきたとはいえ、芽鱗がほころび、いっせいに葉が開くのは、まだ先のこと。ところがどういうわけか、森の中では2月、3月といった頃から芽吹いてしまうものがいます。ずいぶんと「気のはやい木」であります。長い冬にじりじりして春を待ちきれず、ついにしびれを切らして自爆してしまったのでしょうか。
2023・03・12

#72 富貴草・鹿群草・鹿座草

雪ニモ負ケズ、冬ノ寒サニモ負ケズ。眺めていると、そんな言葉も浮かんできます。フッキソウです。富める貴き草と書いて「富貴草」。縁起のよい名前ですね。吉日草、吉事草、吉祥草などの別名もありますが、いずれも慶賀なネーミングです。常緑植物なので、厳しい寒さの季節にも、常に艶めいた緑の葉を絶やしません。葉をつけたまま枯らすことなく、厚い雪の下で冬を越します。
2023・01・17

#68 むずかしやどれが四十雀五十雀

シジュウカラとゴジュウカラ。はじめは同じ「カラ」という名前ですし、「四十」と「五十」というくらいなのだから、近しい仲間なんだろうとは思っていました。ところがぜんぜん異なる鳥なのだと知ってびっくり。では漢字で書くところの「四十雀」と「五十雀」。こりゃいったいどういう意味なんだろう? そんな根本的なギモンを持ちました。

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奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,さまざまなエピソードで解説する『ナチュラリスト講座』

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