ナチュラリスト講座 奥入瀬フィールドミュージアム・コラム

ナチュラリスト講座

奥入瀬は,勾配ゆるやかにして純度の高い自然を満喫できる,まさに天然の野外博物館。
ここでは、登る・走る・ウォーキングするといった,一般的なアウトドア・アクティビティとは一線を画した 「あるく・たたずむ・うずくまる」が基本スタイル。
立ちどまるからこそ見えてくる,森羅万象のかずかず。
足もとのコケから頭上の鳥たちまで,奥入瀬の「作品」をゆっくり・じっくり・たっぷりと楽しみましょう。
自然のことについてはあんまり詳しくないけれど,できればもっと深く楽しむためのアドバイスがほしい。
ただ見流すだけではない,ちょっとした「自然の見方」を身につけるためのヒントが,もう少しほしい。そんなあなたのためのコラムです。
奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,いろいろなエピソードを通し,わかりやすく紹介していきます。

ナチュラリスト講座 講座一覧

2023・11・14

#81 七六万年前への時間旅行

現在の「田代平湿原」にあたる八甲田カルデラが、約76万年前に噴出したとされるのが「八甲田第一期火砕流」です。その火山灰や軽石が、高温の状態でなかば溶けたまま堆積し、熱と自重によって圧縮され、固結してた生成された岩石。それが奥入瀬の地質の主たるものとなっています。これは「溶結凝灰岩」と呼ばれています。
2023・08・15

#78 トクサだってシダである 奥入瀬のシダ入門篇

初めのうちはどのシダを何度見ても、まったく同じようにしか見えませんでした。でものんびりつきあっていくうちに、ごくごく代表的なものに関してはそれぞれの顔つきがなんとなくかるようになってきました。そう、いきなり全員と友達になる必要はないし、できるはずもありません。まずは仲よくしてくれそうな相手からってことでOKなんです。
2023・07・15

#77 清流に棲む、小さな銀色のけもの

目にもとまらぬ素早さで岸を走り、声をあげる間もなく、参加者の足下をするりと通りぬけていくようなこともあり、なんともびっくりさせられることしきりなカワネズミ。そのあまりのすばしっこさに、まったく気づかないままの人もいます。山あいの清流に棲まう、この小さな動物を知る人は、それゆえに一般にはあまり多くないのではと思うのですが、渓流釣りの好きな人ならば、あるいは目にしたことがあるかもしれません。
2023・06・13

#76 森の香り。それは大気のビタミン

「森は馥郁たる香気に満ちて」という文章に出会いました。ちょっといい感じのフレーズです。ただ、この「馥郁」という言葉、私は知りませんでした。あてずっぽうで、なんとか「フクイク」と読めはしたものの、そのきちんとした意味まではわかりませんでした。にもかかわらず、私はこの一文の伝えんとするところを、なんとなく察することができたのでした。
2023・05・10

#75 荘厳な顔つきをして。されど、優しげなまなざしをして。

森全体が萌えあがるこの季節。つい森の全景ばかりを眺めてしまいがち。でも一枚一枚の葉にもハッとするような美しさがあります。毎年のように愛でていても、なぜか決して見飽くことがありません。毎春、初めて目にするもののごとく、新鮮な感動にうたれます。人がブナの新緑に心魅かれることには、どこか生命への根源的な賛歌があるようにも思えます。
2023・04・22

#74 はかなくもしたたかに

早春の森に咲きみだれる可憐な花たち。スプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれる、その代表格といえば、やはりカタクリではないでしょうか。野山を薄桃色に彩る、この花の絨毯を目にすると、どうしても心がはずみます。落葉広葉樹林が新しい葉を開く前から、カタクリは大きな葉を伸ばし、気温が17度を越えると6枚の淡紅色の花びらをピンと後方に反り返らせて咲き誇ります。
2023・03・24

#73 春が来て赤子の産着がすきまから

ブナの芽吹きは、おおむね5月の初め。いかに春めいてきたとはいえ、芽鱗がほころび、いっせいに葉が開くのは、まだ先のこと。ところがどういうわけか、森の中では2月、3月といった頃から芽吹いてしまうものがいます。ずいぶんと「気のはやい木」であります。長い冬にじりじりして春を待ちきれず、ついにしびれを切らして自爆してしまったのでしょうか。

ナチュラリスト講座

奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,さまざまなエピソードで解説する『ナチュラリスト講座』

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エコツーリズム講座

奥入瀬を「天然の野外博物館」と見る,新しい観光スタイルについて考える『エコツーリズム講座』

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奥入瀬散策において想定される,さまざまな危険についての対処法を学ぶ『リスクマネジメント講座』

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