ナチュラリスト講座 奥入瀬フィールドミュージアム・コラム

ナチュラリスト講座

奥入瀬は,勾配ゆるやかにして純度の高い自然を満喫できる,まさに天然の野外博物館。
ここでは、登る・走る・ウォーキングするといった,一般的なアウトドア・アクティビティとは一線を画した 「あるく・たたずむ・うずくまる」が基本スタイル。
立ちどまるからこそ見えてくる,森羅万象のかずかず。
足もとのコケから頭上の鳥たちまで,奥入瀬の「作品」をゆっくり・じっくり・たっぷりと楽しみましょう。
自然のことについてはあんまり詳しくないけれど,できればもっと深く楽しむためのアドバイスがほしい。
ただ見流すだけではない,ちょっとした「自然の見方」を身につけるためのヒントが,もう少しほしい。そんなあなたのためのコラムです。
奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,いろいろなエピソードを通し,わかりやすく紹介していきます。

ナチュラリスト講座 講座一覧

2022・01・25

#49 雪氷の造形を楽しむという感性のレッスン(その二)

ふだん携行するカメラを単に記録用・記念用のツールだけにとどめず、ぜひ「自分が面白いと感じたもの、不思議に思ったもの、よくわからないけどなにか心ひかれるもの」といった対象に向ける「表現用」「作品用」にもお使い頂くことをおススメします。そう、他愛のない「芸術ごっこ」です。ですが「カメラを向ける」という行為が、対象をよりよく観ようというキッカケとなるのです。
2022・01・15

#48 雪氷の造形を楽しむという感性のレッスン(その一)

冷え込んだ日には、渓流でいつも探しものをしています。面白い「氷の造形」を探しているのです。ユニークなオブジェができていることもあれば、不思議なつららが出現していることもあります。この小さな「宝探し」には、ちゃんとした目的意識が必要です。面白いものを見つけてみよう、という意識。あるいは面白がる精神といったものかもしれません。
2021・12・18

#46 ブナの幹の「模様」は生きものである(その一)

ブナの森に魅せられるようになって最初に驚いたことのひとつ。それは、あの美しい幹の模様がブナ本来のものではない、ということでした。ブナの樹皮というものは本来はあのような模様ではないというのです。ブナの樹肌の感じがことのほか好きだった私は、そりゃいったいどういうことかしらと首を傾げてしまいました。
2021・11・21

#44 ホオノキの落葉はなぜ裏面を見せることが多いのか

樹々がすっかり葉を落とした森に延びる遊歩道。落葉がびっしりと隙間なく敷き詰められています。そこでひときわ大きな、白っぽい葉がよく目立ちます。ホオノキです。それが森の底でひときわ「目立つ」ということは、ホオノキの落葉が「常に白っぽい裏面を見せて落ちている」からだ、という話を聞いて驚きました。そういう風景の見方を、それまでまったくしたことがなかったからです。
2021・10・19

#43 朝陽につやめくオオタカを眺めながら考えたこと

秋のある朝のこと。薄い青空を眺めていると、突然、頭上から鋭い声が降ってきました。すぐに一羽の立派なタカがふわりと浮かんでいることに気が付きました。美しい縞模様を誇示するかのように、悠々と旋回しています。深い谷に差し込んだ遅い朝の光を受け、ほんのりと淡い柑橘色に染まった姿はとてもみやびやかでした。オオタカという猛禽類です。
2021・10・05

#42 狸の茶袋、狐の茶袋、悪魔の煙草あるいは狼のおなら

狸の茶袋と呼ばれるキノコがいます。ずいぶんユニークな名前です。ホコリタケ(埃茸)というキノコの仲間で、そのうちの一種であるホコリタケの別名がタヌキノチャブクロなのです。また狐の茶袋(キツネノチャブクロ)というのもいます。冗談みたいな名前なのですが、ホントにそういうキノコがいるのです。それも、ごくふつうの存在として。
2021・09・26

#41 カモシカのこと(その二)

カモシカは、もともと中国南部や台湾などの照葉樹林帯から日本列島に進入してきた南方系の草食動物です。朝鮮半島やサハリン経由で大陸から南下してきたシカ(ニホンジカ)とのせめぎあいの結果、草原性であるシカが不得手とする積雪の深い地域へと追いやられるようなかたちの分布に落ち着いたという生物地理的見解があります。

ナチュラリスト講座

奥入瀬の自然の「しくみ」と「なりたち」を,さまざまなエピソードで解説する『ナチュラリスト講座』

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奥入瀬を「天然の野外博物館」と見る,新しい観光スタイルについて考える『エコツーリズム講座』

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リスクマネジメント講座

奥入瀬散策において想定される,さまざまな危険についての対処法を学ぶ『リスクマネジメント講座』

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