有名な観光地である奥入瀬は,しかし「ただの安全な観光地」ではありません。
ここは原生的な森と川,そして岩崖の連続する場所です。
自然度が高いということは,そのぶんだけ,人にとって不都合なこともたくさん出てきます。
しかし,この地を訪れるほとんどすべての人たちは,そうした認識を持っていません。
観光地としてのイメージがあまりにも定着しすぎて,自然の只中に入っていくという意識が希薄なのです。
奥入瀬を単なる観光地ではなく,「天然の野外博物館」(フィールドミュージアム)として位置づけるということは
ビジターにとって心地よいことばかりではなく,危険なことや不快なこともセットで考えなければならないということ。
リスキーな事象も含めたすべてが「自然」なのだということを,折々にアピールしていく必要のあることを意味します。
この講座では,奥入瀬で起こりうる危険を可能な限り事前予知することで回避するようつとめ, しかしそれでも遭遇してしまった場合の,その適切な対応について解説していきます。