奥入瀬渓流とはどういう場所か 奥入瀬渓流とはどういう場所か エコツーリスム講座 奥入瀬フィールドミュージアム講座

全長14キロの緩やかな勾配

奥入瀬渓流とは、八甲田および十和田火山の活動と河川浸食によって生じた地形と、日本海側と太平洋側の特徴をそれぞれ兼ねた気象条件(積雪とヤマセ)が育んだ植生(蘚苔類およびシダ類の豊富な渓谷林およびブナ林)を有する、全長約14キロの渓谷環境です。 
奥羽山脈の北端に位置する十和田湖(十和田カルデラ)を源流とし、標高は上流側で約400メートル、下流側で約200メートル。ただし、その200メートルの高度差をほとんど感じさせない、たいへん緩やかな勾配となっています。

原生に近い自然

渓流に沿って、国道102号線と自然遊歩道が併走していますが、流域環境への人為的影響(河川改修工事・伐採・植林等)は少なく、ほぼ「原生に近い」状態で、いまに残されています。 
渓流は、十和田湖から流れ出す唯一の河川。名称は「奥入瀬川」ですが、湖からの流れ出しである子ノ口(ねのくち)から、八甲田山より流下する蔦川(つたがわ)との合流点・焼山(やけやま)までの約14キロ区間が特に「奥入瀬渓流」と称されています。 
全域が十和田八幡平国立公園に属し、うち紫明渓(しめいけい)~子ノ口水門下流部までが「特別保護地区」に指定されています。 
また、国指定の特別名勝地および天然記念物(天然保護区域)ともなっています。

ふさわしい「学びの旅」のスタイル

奥入瀬は、明治時代より注目を受けてきた観光地です。 
しかし重要な自然の保護区でもあります。ここを忘れてはなりません。 
同地の観光の基本となるのは、その貴重な自然環境に、できるだけ負荷を与えない形での適切な利用です。 
そのためには、静かな自然観賞を主体とした「学びの旅」であるエコツーリズムの推進が、この地域における、最もふさわしい観光スタイルであるとは考えられないでしょうか。

国道103号青橅山バイパス完成後には、渓流沿いの国道102号が交通規制される予定となっています。 
奥入瀬に「車のない環境」が、ようやく創出されることになるのです。 
奥入瀬におけるエコツーリズムの振興、そしてその進化と深化が期待できる、高く評価されるべき英断であるといえるでしょう。 
同時に、この「車の走行しない道路環境」を、今後どのように維持し、利活用していくべきか。そのあるべき姿がいま問われています。

フィールドミュージアム構想を通じて

本稿では、そのモデルを、渓流遊歩道そのものを天然の「野外博物館」とみなす「奥入フィールドミュージアム構想」として提案していこうと思います。 
エコツーリズムを「持続可能な産業」として成立させるためには、まずは質の高い現地の情報・知見を、より多くの来訪者に伝えるための「新たな仕組みづくり」に取り組む必要があります。 
この構想を通じて、奥入瀬におけるエコツーリズムの将来ビジョンとその課題について、具体的に考えていきたいと思います。

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