水資源の利用

十和田湖の水は発電にも利用されています。青撫取水口より山中の導水路を通じて、渓流下流にある十和田発電所へと送水されます。十和田湖には大きな流入河川がなく、水の源は外輪山のブナ林に貯えられた雨や雪です。しかし、湖への流入量以上の水が発電に利用されているため、湖面の低下は避けることができません。十和田湖から発電所に送水する途中で、奥入瀬渓流に流れ込む各支流からも取水していますが、その支流の水を十和田湖に逆送水することで水位回復を図っています。また、十和田湖から渓流へ約 300m 下ったところにある子ノ口制水門で、渓流への流下量を制限しています。そのため、奥入瀬渓流はもとより増水の起きにくい安定した水環境が生んだ景観にもかかわらず、「水門によって水量が調整されているために奥入瀬は氾濫を起こさない」という説明がされることがしばしばあります。しかし、水門は水量制御によって過去に渓流の氾濫を防いだという事例はありません。あくまでも発電用の施設です。「観光放流」という名の、減水がもたらす景観毀損対策としての放流を行っているに過ぎないのです。十和田発電所で発電に使われた水は、立石発電所、法量発電所を経由し、最終的に灌漑用水として利用されています。 

 

出典「奥入瀬自然誌博物館」P63より